神話に彩られた癒しの島バリには
世界中の旅行者をひきつけてやまない魅力があふれている
写真・文 北奥耕一郎
海外撮影旅行に同行中、参加者全員が買物に出かけている間などに一人だけになることがある。わずか二、三時間なのだが「休暇」をもらったような気分でリラックスできる。その間もカメラは手放さないが…。
この写真を撮影した時も旅行の最終日で全員が買物に出かけて一人だった。大型のリゾートホテル内に趣向を凝らしたプールがいくつかあり、これは洞窟を探検して出てきた二人が滝の水を浴びるという設定なのであろう。はしゃぎながら出てきた二人にカメラを向けたらなんと熱烈なキスを始めたのだ。
まるで映画の一シーンを見ているようであったが激しい水に打たれながらなぜキスをするのか東洋人の私には理解できない。狩猟民族である彼らが自然を征服した喜びを表現しているのであろうか。あるいはただ二人だけになれた幸せを表しているだけなのか。
いずれにせよ西洋人のカップルが至福の時を過ごしているのを見るとこちらの気持ちも明るくなる。旅には色々な楽しみがあり、日本人にはプールよりも買物やグルメの方に人気があるようだ。スポーツや芸術・民族舞踊など、楽園バリには世界中の旅行者をひきつけてやまない魅力があふれている。
プールサイドを一巡して時計を見るとまだ一時間以上「休暇」があった。さてどうして過ごそうか?
そうだ、部屋のテラスからの眺望を楽しもうと引き返し、ルームサービスを頼んだ。定番のミー・ゴレン(醤油味のインドネシア風焼きそば)と冷えたビール。広大な海を眺めながらのひとときの「一人だけの楽園」。五日間の同行を無事に終えた私にとってはまさに至福の時だったのである。
情報誌フルフル第4号より
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